コラム

自分が元気なら、「民事信託」で希望が叶う!

 相続・事業承継対策コンサルティングひと筋に40年! 豊富な実績とノウハウを重ねる英和グループ(英和コンサルティング株式会社/英和税理士法人)では、長寿社会での新たな問題=認知症への対応、つまり、精神的にも財産的にも穏やかな老後を過ごしていただけるよう、ご家族が安心して親御さんに寄り添える状況の実現に取り組んでいます。

 今号は、「家族が認知症と診断されたら︕︖」シリーズの第3弾です。
 耳慣れない、ご本人が判断能力を喪失したときに本領を発揮する仕組み「民事信託」をご紹介しましょう。

◆ ”任意後⾒制度”と”財産管理委任契約”+αの効果とは︖
● まずは”信託(トラスト)”から

 「信託」は、⾃分の特定の財産を信頼のおける⼈に預けて、契約に基づいて管理、処分してもらう仕組みです。
⽇本では馴染みの薄い「信託」ですが、”スムーズな財産管理の代⾏⼿段”として注目を浴びています。

 ”信託”というと、まず信託銀⾏が頭に浮かんできますね。最近の信託銀⾏は、⾦銭や株式以外に不動産の信託にも⼒を⼊れているようです。また、信託銀⾏ばかりでなく、専門会社として設⽴された”信託会社”を使う⽅法もあります。実際には、どちらの利⽤でも相当な額の資産がなければ利⽤できない現実が…。
 そこで登場するのが、身近な人や信頼できる人だけが関わる「民事信託」です。

● 信託では、登場⼈物は3⼈だけ︕

 「信託」では、⾃ら●預ける財産=【信託財産】を決め、●何をしてもらうか=【信託目的】決めます。その上で、必ずつぎの3⼈が登場します。
【委託者】
財産の実質的な所有者=財産を預ける⼈(=財産をお持ちの⽅)
【受託者】
委託者から財産を預かって、管理・運⽤・処分する⼈(=信頼できる⼈など)
【受益者】
その財産の運⽤・処分による利益を得る権利(受益権)を有する⼈

◆ 財津花⼦さん(75歳)のケーススタディ
 夫はすでに他界され、気楽な⼀⼈暮らし。⾃宅とアパートをもち、年⾦と家賃収⼊で⽣活しています。
⼦は⻑男、⻑⼥の2⼈で結婚してマイホームも持っており、安心しています。
 花⼦さんは、持病の悪化や認知症になったときを⼼配し、介護施設への⼊居費⽤や⾃宅リフォーム費⽤・⼊院費などの多額の出費時にはアパートを売って賄おと考えています。
● 解決策その1 ”任意後⾒契約

 財産の管理、病気時や⼊院時、⾝体が不⾃由になった際の財産管理なら「財産管理委任契約」を結んで、家族の誰かか信頼できる第三者に財産管理を依頼する方法です。
 その際、将来判断能⼒が低下した場合に備えて「任意後⾒契約(シリーズ第2弾でご紹介!)」も結んでおくと、将来への備えとしても安⼼です。

● 解決策その2 ”秘策「⺠事信託」”

 財産を限定のうえ「民事信託」を用いて、特定の財産(自宅とアパート)を信託財産として、家賃管理などをしてもらう”信託契約”を活用する解決策です。
 この”信託契約”に基づいて、受託者が家賃管理と経費の⽀払い、⾃宅の維持管理を代⾏して、ご本⼈(委託者)が”契約で決めた必要となった時(=判断能⼒がなくなったときなど)”にアパートの売却まで代⾏してもらう、というものです。

● 解決策1と2はどう違う︖

★ ”家庭裁判所が関係するかどうか”の違い

 ”任意後⾒契約”では、任意後⾒が実際にスタートする際には家庭裁判所が「任意後⾒監督⼈」を指定します。弁護⼠や司法書⼠など本⼈と関係のない第三者が、”任意後⾒⼈”が契約通りきちんと処理をしているかチェックします。
 ⼀⽅、「⺠事信託」では家庭裁判所は関係せず、信託契約時にご本⼈の判断で「信託監督⼈」を決めておけば”その⼈(法⼈)”が、もし決めていなければ”委託者本⼈(ご⾃⾝)”が監督者となります。
★ 不動産を処分するとき

 ”任意後⾒契約”をもとに委任者名義の不動産の売却をしようとすると、家庭裁判所へ届け出て⾦額などを提⽰のうえ許可を得なければならず、時間がかかることに。「今なら希望⾦額で売れる︕」ときでも、チャンスを逃すリスクも…。
 ⼀⽅、「⺠事信託」では信託財産の名義は受託者に変更されるため、売買契約がスムーズに進みます。もちろん、売買価格を家庭裁判所へ届け出る必要もありません。
 委託者の希望通りにタイミング良くコトを進める点では、「⺠事信託」の⽅がメリットがあるようです。

◆「⺠事信託」の活⽤事例
 「⺠事信託」なら、これまでの制度で対応しきれなかったつぎのようなケースも解決できます。
● 遺⾔書だけで対応しきれないケース(オーナー経営者の事例)

 会社の株式(⾃社株)は経営を任せる⻑男に譲りたいが、⻑男に万⼀のことがあれば、⻑男の妻でなく(⻑男と⼀緒に経営にタッチする)次男に譲りたい。

● 障害を持つ⼦どもの将来をカバーしたいケース
 会社を経営しているため、万⼀の際に⾃分が破産した場合でも、障害を持つ⼦どもに残す財産を別に確保しておきたい。財産の管理や⼦どもの⾯倒は、いとこに頼んでおきたい。

 「⺠事信託」はこのように幅広い活⽤余地がありますので、注目を浴びています。とはいえ、使うにも、誰でもどこでもできる制度ではありませんので、関⼼をお持ちの⽅は専門家へご相談ください。

◆ アタマがしっかりしている今がご相談のチャンス!
 ご本人がしっかりしているからできるのが「民事信託」です。
 ご本人とご一族の将来を考える力のある経験豊富な専門家集団の英和グループ(英和コンサルティング株式会社/英和税理士法人)に相談のうえ、ご家族の十分な理解を得たうえでの活用をお勧めします。

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