コラム

2026年度最低賃金を先読み!~東京は1,280円の大台乗せに!?~

 7月28日、中央最低賃金審議会(厚生労働省)は、『2026年度最低賃金の目安を1,176円(全国加重平均値)』とすることを決めました。
 2025年度比では55円の引き上げで、過去最大だった25年度の実績(66円増)は下回ったものの、物価高騰に苦しむ労働者の生計費を重視しつつ、中小企業の経営にも配慮した結果となっています。

 具体的な引き上げの目安は、都道府県の経済状況によってつぎの3つのランクに応じて設定されています。
 ● A地域(東京・大阪など6都府県)      54円アップ
 ● B地域(北海道、京都、広島など28道府県) 56円アップ
 ● C地域(秋田、高知、沖縄など13県)    56円アップ

 なお実際の最低賃金は、今回の目安を参考に地方最低賃金審議会(都道府県労働局)が答申して最終的に決定し、概ね今年の10月以降から順次適用されます。

◆ 目安に基づく主要都府県の最低賃金を先読みする!
 25年度最低賃金実績値に今回の目安額を加えると、主要都府県の「2026年度最低賃金先読み額」は次のとおりです。
  順位  都府県 地域ランク 25年度実績 引上げ目安 26年度先読み額
  1位  東 京 
  A    1,226円   +54円    1,280円
  2位  神奈川
   A    1,225円   +54円    1,279円
  3位  大 阪 
  A    1,177円   +54円    1,231円
  4位  埼 玉   A    1,141円   +54円    1,195円
  5位  愛 知   A    1,140円   +54円    1,194円
  5位  千 葉   A    1,140円   +54円    1,194円
  7位  京 都   B    1,122円   +56円    1,178円
  8位  兵 庫   B    1,116円   +56円 
   1,172円


● 3都府県の最低賃金目安額が1,200円台乗せに!

 目安通りの引上げなら、東京の最低時給は1,280円、神奈川は1,279円に達し、大阪も1,231円と1,200円台乗せが見込まれます。
 経営者から時給1,200円台は厳しいとの声も聞こえてきますが、東京都心やその周辺部で「総務経理など事務職(パート)」を募集する場合、時給1,400~1,500円程度でないと応募がないのが実情です。

● 1,500円台が目標なら、地方審議会での上乗せも!?

 政府は「2020年代(=2029年度まで)に全国平均の最低賃金を時給1,500円台に引上げる目標」を掲げています。高市政権ではこれを先送りする方針のようですが、今回の全国平均1,176円を前提とすると、残り3年間で324円(毎年平均100円以上)もの引上げとなり、現在のペースでは到底間に合いません。
 昨年度は、最低賃金最下位脱出を図る秋田県が25%アップの80円引上げを実施し、C地域で目安を大きく上回る71〜82円もの引上げが相次ぎました。
 今年も、地方の経済実態や人材確保の危機感から、目安額を上回る答申が出るかどうかが注目されます。

見方を変えると、中小企業にはさらなる大きな負担が!
 東京の先読み最低賃金1,280円でフルタイムで働いた場合、年収はなんと約230万円にも上ります。
 【計算式】2,304,000円=最低賃金1,280円×(7.5時間/日×20日/月)×12ヵ月(賞与ゼロを想定)
 これに通勤手当と社会保険料の会社負担分などを加えると、ざっと年収に15~20%をプラスした『 260~270万円 』が実際の人件費負担に。

◆ 賃金上昇への対応はどうする?

 最低賃金の引上げはパートで働く方には朗報ですが、価格転嫁が十分に進まない中小企業の経営者にとっては頭の痛い問題です。
 今後の生き残りを図るためには、以下の対策が急務となります。
● 年収の壁(所得税の壁)の大幅引き上げ ―― 政府の決断!

 パートの方の「働き控え」を解消するため、年収の壁が一律年178万円まで引上げられれば、週4日で1日あたり7時間勤務が可能となります。
 政府による税制改正が強く待たれます。
● 業務の省力化による生産性の向上が急務! ―― 経営者の決断!

 人手の確保が困難さを増す中、社内人材は収益源となる本業に集中投下し、経理・総務をはじめとする間接部門はアウトソースするなどの工夫が不可欠です。
 また、設備投資など人手だけに頼らずに済む環境作り(省力化投資)によるコスト削減と生産性の向上が最優先課題となります。