コラム
気になる終活:証券口座はまとめておくと助かる!?
相続時の手続きで預金よりやっかいなのが、”株式や債券など有価証券の引継ぎ”です。たとえば、被相続人(亡くなった方)が証券会社5社と取引があれば、これら有価証券を引き継ぐ相続人は最大5社に証券口座を開設しないかぎり”株式や債券を引き継げません。
つまり、相続人にとっては「証券口座は少ないほど助かる!」というワケです。
今回は、株式や債券の相続の進め方や注意点、今からできる証券口座の整理方法を解説いたします。
◆ こんなに大変!株式などの相続手続き!
遺言書がなく、相続人の合意による遺産分割協議では、次のような手続きで株式や債券を引き継ぎます。また、手続きはすべて証券会社ごとに行いますので、証券口座が多いほど手間も増え、相続人の負担は増えるばかりに。
● 証券会社にとるべき手続き
・ 相続の発生を通知
相続が発生したら、その旨を被相続人が証券口座をお持ちのすべての証券会社に連絡し、相続手続きに必要な書類を依頼します。ホームページ上で手続きできる証券会社も増えています。
・ 残高証明書の発行を依頼
証券口座では株式や債券以外にも”MMFやMRF、預け金など”が残っていることが多いので、証券会社には「亡くなった日時点の残高証明書」の発行を依頼しましょう。残高証明書は、被相続人の相続人代表宛に発行してもらいます。また証券会社では、一般的に残高証明書については発行手数料はかかりません。
なお、残高証明書の発行時に「上場株式の相続税評価額を算出するための終値データや外貨建て資産の評価に必要な為替レートなど」を案内してくれる証券会社も多いようです。
● 相続人は、証券会社で口座を開設!
・ 相続人の証券口座の開設
すべての相続人が合意して遺産分割協議が整ったら、株式や債券などの有価証券を引き継ぐ相続人で、被相続人が口座を保有する証券会社にご自身の口座がなければ、新たに口座開設することとなります。
また、被相続人がいくつもの証券会社に証券口座を持っていれば、相続人も同じ数だけ新たに口座を開設しなければなりません。
・ 証券会社に提出する書類とその準備
証券会社に提出する書類には、株式などの銘柄ごとに相続人の誰が何株(何口)引き継ぐかを手書きで記載します。
預貯金と違い、株式や債券の銘柄数が多いと書くのもひと苦労です。
さらに、書類には、通常「相続人全員の署名」と「実印の押印」が必要とされるため、証券会社の数だけ書類も増え、署名も大変になります。
【証券会社への提出書類】
一般的に、次の書類が必要とされます。
① (相続手続きのための)証券会社指定の書類
② 遺産分割協議書(原本)
③ 相続人全員の印鑑証明書(原本)
④ 法定相続情報一覧図(原本)
証券会社は相続手続き専門の部署を設けているところも多く、支店へ出向いての手続きというよりも、”書類での手続き”が中心になります。
②~④の書類は、「最初に提出した証券会社からの返却を待って次の証券会社に提出」の繰り返しですので、証券会社数が多ければ、相当な手間暇がかかることに…
◆ 株式の相続ではこんな点にもご注意を!
● 証券会社以外に株式が残っていないか?
「証券会社に預けていない株式について、配当を受け取っている…」との話で調べたところ、信託銀行の特別口座に株式があることが判明したケースがあります。また、株式分割などで単位未満株(端株)が増えていて、単位未満株だけが特別口座に管理されている場合もあるため、こうした点にも注意が必要です。
● 信託銀行の特別口座はどう調べる?
被相続人について、”ほふり(証券保管振替機構)”へ『登録済加入者情報開示請求書』を提出すると、「登録済み加入者情報通知書」が発行されます(費用は6,050円)。
この通知書には、被相続人が①過去開設したことがある証券会社名、②信託銀行の特別口座の加入者口座コードが記載されます。特別口座がわかれば、各信託銀行へ相続が発生したことを伝え、残高証明書の発行や相続手続きに必な要書類の発送依頼をすることになります。
● ネット証券口座が残っていないか?
1999年に登場したネット証券は、気軽に開設できるうえ証券会社を通さずに手軽に売買でき、一気に普及しました。ネット証券からは紙の報告書類は送られず、保有残高はサイトでしか確認できません。サイトにログインできれば、残高を確認して相続の手続きを進めることになります。
なお、どこに開設したかわからない場合には、前述の”ほふり”の「登録済み加入者情報通知書」で過去に開設した証券会社名を確認できます。
それでも、ログインIDやパスワードがわからなければ相続人はどうしてよいかわからないのが一般的ですので、今のうち、相続人にIDやパスワードがわかるようにしておきましょう。
◆ 証券口座はできるだけ整理を!
これまでご案内のように証券口座の相続手続きはとても面倒で大変です。相続人のため、有価証券の引継ぎ手続きを簡単にするには、ご本人の元気なうちに「証券口座の断捨離(整理)」がおススメとなります。
● まずは証券口座の棚卸から
(ご高齢の)親御さんが何社の証券会社に口座を作っているかわからなくなっている場合は、前述の”ほふり”へ開示請求手続きをすれば『特別口座の有無』と『過去に開設したことのある証券会社』がわかります。
なお、親御さんご本人請求時の手数料は4,400円です。
● 整理がおすすめな証券口座
・ 証券口座はとにかく集約しておこう!
証券口座はできるだけ集約しておくと、ご自身での管理も楽になるうえ将来の相続手続きもシンプルで済みます。
【株式の移管手続き】
2社以上の証券会社で株式の取引をしていて残高があるケースで、特定の証券会社に株式口座をまとめるには「株式移管」という手続を行います。解約する証券会社から「株式移管」の書類を入手して、必要事項を記入のうえ提出すると、移管先(集約先)の証券会社の口座の管理に移ります。
株式移管手続きでは手数料がかかることが多く、移管先の証券会社の手数料返金キャンペーンなどを上手に利用してコスト負担を減らしましょう。ちなみに、ネット証券は移管手数料がかからないところも多いようです。
なお、株式の移管後は預け金なども引出して、口座自体も解約しておきましょう。
また公社債や投資信託は、証券会社によって取扱い銘柄が異なることもあるので、そうした銘柄は売却して現金化するなどしたうえで口座を集約したいところです。
・ 整理しやすいネット証券口座
ネット証券はログインさえできれば、残高確認や場合によっては解約手続きまでできます。
預け金、MRFなどの売却、銀行口座への資金移動もネット上で完結できます。
・ 保有銘柄の整理も考えよう!
幾つもある証券口座を集約した後には、長期投資目的の銘柄や思い入れのある銘柄(例:5銘柄程度)だけ残して売却することも考えましょう。つまり、自分で管理できる範囲内で運用するやり方です。
具体的には、塩漬け株式(含み損を抱えている、今後値上がりしそうにない株式)やリスクの高い株を売却して「他の資産への置き換え」など、保有銘柄の見直しもしておきたいところです。
・ 単元未満株式の整理もお忘れなく!
単元株は証券会社で取引できますが、”単元未満株(端株)”は信託銀行で保有している状態となります。
”単元未満株”の状態で相続を迎えると、証券会社に加えて信託銀行でも相続手続きをする必要があり、早めに信託銀行で買取請求をかけて換金される方がよいでしょう。”単元未満株”の有無をチェックしておきましょう。
いかがでしたか?
証券取引の手数料が安い、取扱い銘柄が違うなどの理由で何ヵ所にも証券口座をお持ちの方も少なくありませんが、相続人の大変な手間も考慮され、ご自身だけでなくご家族のためにも必要範囲にまとめておきたいところです。
