コラム
気になる終活:預貯金口座は少ない方が助かる!?
親御さんの相続で必ず必要となるのが”預貯金の引継ぎ”です。
相続税がかならないケースでも預金口座がない方はおらず、それも大半は口座を幾つもお持ちです。
ところが、引継ぎ時には金融機関からさまざまな書類を求められたうえ、金融機関によって手続きが異なることもあり、かなり面倒なのをご存知でしょうか?
つまり、相続人にとっては「引き継ぐ預貯金口座が少ないほど助かる!』というワケです。
今回は、預貯金について「相続手続きの流れ」と「今からできる預貯金整理」を解説いたします。
◆ こんなに大変!預貯金の相続手続き
相続が発生したら、預貯金の引き継ぐには次のような手続きが必要になります。
また、手続きはすべて金融機関ごとに行いますので、口座数が多いほど手間も増え、相続人の負担は増えるばかりに。
● 金融機関にとるべき手続き
・相続の発生を通知
相続が発生したら、その旨を被相続人が預貯金口座をお持ちの金融機関に連絡し、相続手続きに必要な書類を依頼します。ホームページ上で手続きできる金融機関が多いものの、電話連絡が必要なところもまだ残っています。
ところがこの連絡にはデメリットがあり、預貯金口座はすべて凍結され、口座振替や入出金ができなくなります。
亡くなったのだから当然とはいえ、相続後の葬儀一式や入院費用などは思いの外多額に上るため、相続人にとっては口座の凍結は辛いところです。
実際には、金融機関に預貯金の残高証明書の発行を依頼するまでは金融機関への通知をせずに済ませてしまうケースも見受けられます。この場合は、葬儀費用などに充てるための現金引き出しができる結果になるワケです。
・ 残高証明書の発行を依頼
次に、被相続人の亡くなった日時点の預貯金残高を証明してもらいましょう。残高証明書の発行依頼の件は、金融機関への相続発生の連絡時に伝えておくとスムーズです。
ちなみに、普通預金は通帳で残高確認ができますが、定期預金の有無や既経過利息、借入金の有無などの確認には残高証明書が欠かせません。
英和グループで相続税申告書作成のご依頼を受託する場合は、残高証明書は必ず入手するよう、お願いしています。
なお、残高証明書は発行手数料がかかりますが、550円から880円程度が多いようです。郵送での依頼では、事前の手数料振込が必要で、口座数が多いとその分コストも手間もかかる結果に…。
● 金融機関に提出する書類
・ 相続人全員で遺産の分割協議を行う
相続財産と債務(借入金や葬儀費用など)のリストアップを済ませて、(税理士による)相続税の財産評価額を確定させた段階で、通常、相続人全員が集って遺産分割協議を行います。
分割協議の場では、被相続人(亡くなった方)の財産や債務(預貯金・株式や不動産、借入金など)を、誰がどれだけ引き継ぐのかを協議して合意のうえ決めます。
なお英和グループでは、タテに相続財産と債務をリストし、ヨコには相続人欄を設けて引き継ぐ財産などを記入できるようにエクセルシートでご提供して、分割協議をわかりやすく進められるようご案内しています。
また遺言書が遺され、遺言どおり引継ぐ場合は、分割協議は行いません。
・ 金融機関へ提出する書類とその準備
金融機関ごとに「相続届」「相続手続依頼書」などの書式が用意されており、遺産分割協議の内容に基づいて必要事項を記入します。書類には、「預金を引き継ぐ相続人か、相続人全員の署名」と「実印の押印」が必要で、被相続人の取引金融機関が多ければ、署名や押印も面倒になります。
【金融機関への提出書類】
① 銀行指定の書類(相続届、相続手続依頼書など)
② 遺産分割協議書(原本)
③ 相続人全員の印鑑証明書(原本)
④ 法定相続情報一覧図(原本)
法定相続情報一覧図がない場合は、改製原戸籍謄本(出生から死亡日までの戸籍謄本すべて)が必要です。
また、不動産の相続登記や証券会社での相続手続きなどで②~④の書類は何度も使いますので、預貯金の口座数などに応じて印鑑証明書や法定相続情報一覧図は余分に入手しておくとよいでしょう。相続手続きのスピードはこの書類をいかに効率よく提出していけるかにかかってきます。
なお、直接金融機関を訪ねてこれら書類を提出する場合には、②~④の書類は提示(見せるだけ)でその場で返却されスムーズですが、遠方に所在する金融機関では郵送で手続きを進めることになります。
郵送ですと、金融機関に提出後②~④が返却されるまで1週間から10日ほど待つ必要があり、返却されたら次の金融機関へ提出することの繰り返しになります。つまり、取引金融機関が多いと、手間も時間もかなりかかることに。
● 相続人間での資金精算
遺産分割協議で、A銀行の預金1,000万円のうち、長男が800万円を、次男は200万円を引き継ぐと決まった場合でも、預金1,000万円の送金先は相続人のうちの代表者1名の銀行口座とされるのが一般的です。ごく稀に複数の指定口座に分割して送金してくれる金融機関もあります。
つまり、相続した預金が相続人代表者の指定口座に移されるまで書類提出から1~2週間かかりますので、上記のように長男の口座に預金全額を送金するケースでは、長男は入金を待って次男の口座に200万円を送金(相続人間での資金精算)となり、時間ばかりかかってしまうワケです。
◆ 預貯金はできるだけ整理を!
以上のように、管理の手間をカットして相続手続きもかんたんに済ませるには、預貯金口座を少なくしておくに限ります。
● まずは、預貯金口座の棚卸から
まずは預貯金口座の状況を把握しましょう。通帳、キャッシュカードなどから、次のように利用目的や引き落とし金額などをチェックします。
〇〇銀行 ××支店 残高 ¥XXX,XXX 利用目的:年金受取り、水道光熱費振替
▲▼銀行 ××支店 残高 ¥XXX,XXX 利用目的:△△カード引落、配当受取り
この機会に、年金や給与の入金や生活費の引き出しは、近所や行きつけの金融機関の口座に集中させておきましょう。
● 整理がおススメな預貯金口座
・ 利用ひん度の低い口座 解約がおススメ!
最近では取引がない場合に、口座管理料をとる金融機関もあります。利用ひん度が低い口座での引落しなどは、早めに振替口座を変更しhたうえで、解約手続きを進めましょう。
といっても解約手続きは、金融機関や利用方法によってさまざまです。
ネットバンキングもスマホアプリもない口座は、ご本人が支店などへ出向いて手続きする必要があります。また、ネットバンキングを使っていても、実店舗がある金融機関では「店舗での手続き」を求められるケースが多いようです。
その一方で、いわゆるネット銀行には実店舗がないので、ネット上や郵送で手続きできるのが一般的です。
・ 解約できない場合の対処 残高を引き出す手も
銀行の店舗が遠方などで口座解約も難しい場合は、キャッシュカードでできる限り引き出すという方法があります。
ATMでの引出しは千円単位が多いですが、ゆうちょ銀行や三井住友銀行など一部金融機関は円単位まで引き出せるので、”残高をゼロ”にしておくこともできます。
・ 預金が1,000万円超の場合 整理すべき?
預金保険制度(ペイオフ)では、金融機関が破綻しても一金融機関一人の預金者あたり元本1,000万円まで預金が保護されます。ワーストケースのペイオフを踏まると、預貯金残高が1,000万円を超える場合は口座の一本化は避けた方がよいという考え方もあります。
それでも信用力の高い金融機関を選べば預金の一本化も問題ないでしょうが、どうしても気にかかるなら、元本1,000万円など管理しやすい残高で別の金融機関に預け入れておかれるとよいでしょう。
いかがでしたでしょうか?
お付き合い、金利キャンペーンなどで預貯金の口座数は増えてしまいがちですが、管理や相続手続きの手間を考えれば、年金受取口座と通常の支払口座程度と少なくしておくに限ります。洋服や身の回りのものだけでなく、預貯金口座も断捨離されてはいかがでしょうか?
