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2024年度東京の最低賃金をウラ読みする!中小企業は生き残れる?

 一都三県の2024年度最低賃金は『東京で1,163円、神奈川で1,162円』で、千葉、埼玉の両県も1,070円台後半に。全国では、最低賃金1,100円突破は大阪(1,114円)を含めて3都府県となりました。
この最低賃金は地域別に定められており、中小企業も支払いを義務付けられており、これを下回る賃金はパートやバイトだけでなく、正社員でも認められません。

 また、10月に発足の石破新政権では「2020年代中の”最低賃金1,500円台”の実現」を目論んでいます。つまり、あと5年で最低賃金(全国平均1,055円)から42%アップの1,500円に上昇することに。これでは、人手の確保にも事欠く中小企業にとって、さらなる追い打ちとなりかねません。

◆ 2024年度最低賃金の復習から
 最低賃金は2023年に約4.5%アップで全国平均が1,004円と、初めて1千円を突破しました。今年も引き続き5.1%上昇して1,055円となっています。
所得水準の高い東京をはじめ一都三県では4.5~4.9%上昇し、東京と神奈川では1,200円台に迫る勢いでした。また、前年最下位圏内の徳島ではなんと9.4%アップの980円と、最低賃金の上昇圧力は強まるばかりです。

◆ 最低賃金は今後5年は年7.3%以上の上昇に!?

 石破新政権が目論む「あと5年で全国の最低賃金1,500円台実現」、つまり、今後5年で42%の引上げするには、複利で年率7.3%以上の引上げが不可欠ということです。
● 東京や神奈川の最低賃金は1,650円台乗せに!

 ではすでに1,163円の東京や1,162円の神奈川ではどうなるのでしょうか。
今後5年間の全国平均最低賃金引上げ率がそのまま東京・神奈川で適用されるとすれば、2029年度最低賃金は1,650円台半ばとなる見込みで、ざっと時給で500円近くも上昇する可能性があります。
 気休めかもしれませんが、米国の時給は高いところで20ドル程度。昔の為替レート(1㌦=100円)なら”時給2,000円”で、ざっと8割強になります。また今の為替レートでは2,800~3,000円になり、せいぜい6割程度といったところです。

● 5年後フルタイム勤務だと、なんと年収は300万円に!

 9月5日号の「詳報!2024年度最低賃金」で解説した『東京の最低賃金でフルタイム勤務での年収』で負担の重さを考えてみましょう。
 5年後の東京の最低賃金を1,650円として、フルタイムで働くと年収が297万円に!
 【計算式】297万円=1,650円×(7.5時間/日×20日/月×12ヵ月(賞与なし)

 つまり、(賞与は含まれていないものの)単純比較では『未経験の正社員の初任給レベルの給与』となるわけです。

 また社会保険料の会社負担分や通勤手当を加えれば、ざっと年収の15~20%をプラスした”340~355万円”が会社にとっての実際の人件費負担になります。

● パートの年収103万円や130万円の壁はどうなる!?

 家庭の主婦が短時間勤務でパートとして、夫の配偶者控除の範囲内で働こうとすると”年収は103万円(所得税の非課税範囲)”まで、また、健康保険での配偶者の被扶養者の範囲内の”年収130万円”までに抑える傾向があります。
 では、5年後に最低賃金が1,650円になったらどうなるのでしょうか。パートで働くにも最低賃金の上昇で週にわずか13~16時間しか働けないのです。
・年収103万円に抑えるケース⇒週に13時間労働が限界点!

 【計算式】週13時間=(1,030,000円÷時給1,650円)÷12ヵ月÷4週/月

・年収130万円に抑えるケース⇒週に16時間労働が限界点!

【計算式】週16時間=(1,300,000円÷時給1,650円)÷12ヵ月÷4週/月


 会社にとっては、週に13~16時間だと週に2~3日勤務で、1日当たり4~6時間程度しか働いてもらえません。これをカバーするには、少なくともパートの採用数を2倍から3倍にする必要がありますが、人手確保が困難な時代で可能でしょうか。
 政府も最低賃金の引き上げを唱えるばかりでなく、家庭の主婦も年収の壁を必要以上に意識することなく働ける環境を短期間に整備することを忘れぬようにしてもらいたいものです。

◆ 5年後の中小企業サバイバルのポイント!

● 5年後の人件費は男性808万円、女性が449万円に!

 短時間勤務のパートなどを前提に解説してきましたが、最低賃金の上昇は『一般社員の給与水準の上昇』につながるのです。もし5年後にざっと42%給与水準が上昇すると、平均年収が男性で239万円増の808万円(現569万円)、女性は133万円増の449万円(現316万円)、平均653万円(現460万円)と見込まれます。
 これを社会保険料の会社負担と通勤手当込み(年収の15~20%)で見ると、男性で930~970万円、女性は515~540万円が会社にとっての実際の人件費負担に。

● どうする中小企業?生き残りのポイントはこれだ!

 人件費は毎月、毎年継続してかかり、増えざるを得ない固定費で、コストダウンは考えようもありません。最低賃金のクリアや一般社員の昇給も今年は何とかできても、来年以降は…

 そこで生き残りのポイントをご紹介しましょう。
・貴重な社内人材(人手)に頼るより、プロに任せる

 経理などの事務処理的業務は、DXやペーパレス化が進み、法令も熟知するプロに任せて、変動費化する。
・人材は社内の収益に貢献する部署で活躍してもらう

 経理などの人材は、営業サポートや経営の判断資料などの作成といった、収益貢献が期待できる業務に就いてもらう。
・社長も営業などの主力業務に時間を割いて、収益貢献につなげる

 中小企業では、社長といえども事務管理的業務に結構な時間を割いているものです。これを外部のプロへのアウトソーシング(経理代行)化をすることで、社長が事務管理に使う時間はほんのわずかで済み、顧客訪問やその深堀などで業績を引き上げる余地が。
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 特に、経理周りの業務は昨年10月スタートの消費税インボイス制度の導入、今年1月からの電子商取引データの電子保存の義務化、6月の定額減税、12月にも年末調整業務で定額減税の締めくくりなど年々複雑化する一方で、永年経理業務を担当される社員も不安を抱えながらの作業となっており、実質ひとり経理の会社などでは退職がひんぱんに。

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