コラム

知らぬ間に”保証債務”を引継いで、「⾃⼰破産!?」

 相続・事業承継対策コンサルティングひと筋に40年! 豊富な実績とノウハウを重ねる英和グループ(英和コンサルティング株式会社/英和税理士法人)では、一般的な相続相談から特殊な相続問題までご相談をお受けしています。

 相続時に相続⼈が「(親の)保証債務」の存在を知らずに財産を相続してしまうと、⼤きなリスクを抱えかねません。万⼀その後に、債権者から多額の保証債務の履⾏を求められたらさあ⼤変︕
今号では、相続される「保証債務」相続してしまった「保証債務」への対応をご紹介しましょう。

◆ 借⼊⾦の契約書の確認から始めよう︕
 相続を迎えられたら、親御さんの財産や借入金に目を向けるだけでなく、親御さんが他人の借入の連帯保証をしていないかをチェックしておきましょう。
 連帯保証の確認は、まずは「⾦銭消費貸借契約書(借⼊契約書)のコピー」などを探して、連帯保証⼈欄に「親(被相続⼈)の名前や捺印」があるかどうかを確認してください。
 契約書などが⾒つからなくともまだ安心は禁物です。(仕事上の関係などから)連帯保証をしていそうなら、「親の⽇記や⼿紙などで確認する、親の親しい友⼈や取引関係者(銀行を含む)に確認する」などもされるべきでしょう。
● 「保証債務」が相続されてしまうケース

★ 銀⾏借⼊⾦の連帯保証⼈

 親(被相続⼈)が知⼈・友⼈に頼まれての連帯保証人や経営する会社の借⼊⾦の連帯保証⼈は、連帯保証⼈の地位を”相続放棄”しない限り、相続したものとみなされます。
その後、債務者が借⼊⾦を返せなければ、債権者(銀⾏など)は相続⼈に”⽀払いを請求(=「保証債務」の履⾏を求める)”してくるので、関係がなかったはずの相続人にツケが回ることに。
★ 不動産などの賃貸借契約での連帯保証⼈

 アパート・マンションなどを借りる際の連帯保証⼈は、上記同様、相続したものとみなされます。
家賃が滞納されると、滞納家賃にプラスして⾼率の遅延損害⾦を請求されることも。
● 相続の対象外とされる⾝元保証⼈
 ”⾝元保証⼈”には、保証の対象者が他⼈に損害を与えるとその損害の賠償責任が⽣じます。そのため、採⽤時などでは⾝元保証⼈を要求されたりします。”⾝元保証”はお互い(保証する⼈・される⼈)の信頼関係あっての契約であり、契約の当事者でない相続⼈にその地位が⾃動的に引継がれることはありません。
 といっても、被相続⼈の⽣前にすでに⾝元保証していた⼈が何らかの損害を与え、損害賠償請求されていれば、⾝元保証⼈の地位は相続されるため、注意が必要です。

◆ もしも”連帯保証⼈”の地位を相続してしまったら︖
 相続放棄⼿続きの期限が過ぎて、結果的に”連帯保証⼈”の地位を相続してしまい、本来の主債務者が⾃⼰破産などをして返済ができないときは、債権者から保証債務の履⾏(借入金の返済)を求められますが、その対応としてつぎの方法が考えられます。
● 選択肢1:⾃⼒で、全額⽀払う

 相続で引継ぐ財産や⾃分の財産に余裕があり、他の連帯保証⼈(注)に借⼊⾦の弁済能⼒がなければ、遅延損害⾦などで債務が膨らむ前に⽀払って、「他の連帯保証⼈」に求償(請求)する⽅法があります。
(注)「他の連帯保証⼈」︓”連帯保証⼈の地位”は各法定相続⼈に法定相続分で相続されますので、⾃分以外の法定相続⼈のことをいいます。
● 選択肢2:⾦融機関との減額交渉
 最も現実的な⽅法で、所有資産に合わせた交渉をすることです。ただし、⼗分な資産があるのに無茶苦茶な減額交渉を⾏うと相⼿の気持ちを逆なでして、差押さえや競売などの⼿続きへと発展しかねません。

● 選択肢3: 任意整理や個⼈再⽣
★ 任意整理

 この⽅法では借⾦の⼤幅な減額はできないものの、債権者と”連帯保証⼈”で協議して確実な返済ができるような計画を⽴てて実⾏していきます。
★ 個⼈再⽣

 家庭裁判所での再⽣計画の認可を得ることが前提となります。個⼈再⽣では借⼊⾦総額を⼤きく減額したうえで、決められた返済額を数年間(原則3年間)で⽀払うので再スタートを切りやすいといえましょう。 任意整理や個⼈再⽣は交渉や⼿続きが複雑ですので、専門家(弁護⼠等)に依頼されるようお勧めします。
● 選択肢4:最終⼿段は、”⾃⼰破産”

 銀⾏から「保証債務」の履⾏を求められても”連帯保証⼈”に財産がなく弁済メドが⽴たなければ、裁判所に申⽴てて”⾃⼰破産”⼿続きをとる⽅法があります。⼿持ち財産はすべて処分したうえでの⼿続きであり、財産はゼロになるがそれ以上の履⾏は不要で、再スタートを切りやすいメリットがあります。

 「他⼈(法⼈も含む)の連帯保証⼈」という事実は、相続後に相続⼈(妻や⼦)の不幸を招きかねない⼤きな問題です。それゆえ連帯保証⼈になる際にも、家族に知られぬよう内緒で押印するケースがあるため、契約書などでの保証債務の有無の確認にはかなり⼿間がかかってしまいがちに。
 相続後に後悔せぬよう、親との⼗分なコミュニケーションを通じて、隠れた「保証債務」を把握しておきましょう。

◆ 保証債務など見えるリスクを感じたら、すぐに英和グループにご相談を!
 気づかぬうちに保証債務を引き継いでしまうことにならぬよう、借入契約などの連帯保証人になってしまったら完済しない限り、リスクは残り続けます。借入にあたり、経営者が連帯保証を求められて断ることができないことも多いのが実情です。

 ”保証債務”の存在に気付かぬままに相続人が連帯保証人の地位を引き継がされる結果とならぬよう、心当たりがあれば英和グループ(英和コンサルティング株式会社/英和税理士法人)にお気軽にご相談ください。
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