コラム

養子は、相続対策でまだ使える!?

 40年以上にわたって相続・事業承継対策コンサルティングをお届けする英和グループ(英和コンサルティング株式会社/英和税理士法人)では、相続・事業承継に関連する皆さまへのお役立ちポイントをご紹介しています。

 今号では「養子縁組が節税目的でも有効(直ちに無効とはいえない)」との判決(最高裁判所)が下されて”養子縁組の対策”にお墨付きが与えられており、改めて、その活用メリットや節税メリットをご案内しましょう。

◆ 養子縁組が節税になるワケ
 孫などを”養子縁組”するだけで、●基礎控除額の増加、●適用税率の引下げ、●非課税枠の有効活用などの大きな節税メリットが得られます。
● 意外にカンタン!”養子縁組”の手続き

 実は、このようなメリットが期待できる”養子縁組”の手続きは面倒でなく、養親(養子も可)の住所地の市区町村役場に「”養子縁組”の届出書」を提出するだけでよいのです。
 といっても、届出にはつぎのような書類などが必要で、養親や養子に配偶者がいればその同意も必要です。
★ ”養子縁組”の届出書
 
            1通
 届出書には(成年の)証人2人の署名と押印(任意(注))が必要です。
 (注)2021年9月1日より押印義務が廃止されて、押印は任意となりました。
 また、養親と養子の本籍が届出地の市区町村でなければ、 届出人の印鑑に加えて、 養親と養子の戸籍全部事項証明書
 (戸籍謄本)各1通が必要です。
★ 本人確認書類: 運転免許証、パスポートなど

● ”養子縁組”による節税メリット
★ 基礎控除額の増加メリット!
 相続税は、相続財産が基礎控除額を超えるとかかります。つまり、基礎控除額が大きいほど税負担が減るので、孫などと”養子縁組”をすると「法定相続人の数」が増えて、基礎控除額が増えるというわけです。
  基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)
 といっても、”節税目的での養子を増やす”ことを防ぐ意味で、相続税では「実子がいれば養子は1人、実子がいない場合は養子を2人まで」と法定相続人を制限しています。
★ 相続税の適用税率の引下げ効果!
 相続税では、課税財産が増えると税率が高くなる「累進税率」をとっているため、”養子縁組”で相続人が増えると1人あたりの法定相続分の財産が減り、その財産に適用される税率が下がる関係で、節税メリットが生じます。
★ 非課税枠の増加メリット!
 相続人が受け取る生命保険金や(死亡)退職金などは、法定相続人1人あたり500万円まで相続税がかかりません。つまり、”養子縁組”で相続人が増えると非課税枠も増加し、相続財産が減って節税メリットにつながります。

◆ 具体的な節税メリットは?
● ”養子縁組”の効果の試算!

 姓が変わらぬ直系の子(例:長男)の妻を”養子縁組”するケースで、節税効果を試算してみましょう。
【前提条件】

 ★ 被相続人:父(2020年9月死去)   ★ 相続財産:3億円
 ★ 相続人 :長男1人
 ★ 遺産分割方法:法定相続分での分割。ただし、妻は相続財産以外には財産をもっていない。
 父が生前に1人(例:長男の妻)を”養子縁組”していれば、一次相続で600万円、二次相続では1,020万円の節税につながり、合計1,620万円ものキャッシュが余分に確保できます。

● 二次相続でも活きる”養子縁組”
 ”養子縁組”活用の注目ポイントは、効果が「一次相続」だけでなく、のちの「妻(母)の相続(二次相続)」でも効果が得られる点です。

◆ 世代飛ばしにも使える!?
 「親・子・孫の3世代の相続で財産はなくなる」といわれるほど重い負担の相続税ですが、養子縁組は”財産承継の世代飛ばし”にも使える(余地が)あります。
● 孫を使って相続税を世代飛ばし!
★ 孫養子活用のワケ!
 多額の財産(特に不動産)があり、孫世代まで事実上後継者が決まっているようなケースでは、直系の孫などとの”養子縁組”を活用して「子世代を飛ばした孫養子への相続」で、長期的視点で一族全体の相続税負担を減らすことができます。その結果、一族が引継いでいく財産は実質的に大きくなものとなり、末永い繁栄につなげられます。
 さらに、直系の孫(男)なら名字は変わらず、周りの目も気にする必要がありません。
★ 孫養子をする際の注意点!

・ 増税効果も意識する!

 相続で孫養子が引継ぐ財産には「相続税が2割増」になります。この点を踏まえて、事前にシミュレーションを重ねてどこまで孫養子に引き継がせるか(例:収益物件は引継ぎ向き)などの”プロのアドバイス”を受けることが大切です。
・ 孫が幼少なケース

 戸籍上、祖父母の養子として記載が残るため、将来の受験(私立の有名中高大学など)で障害となる可能性、結婚相手が誤解しかねない懸念、孫本人が疑問を持つリスクなどが生じかねません。

● 安易な”養子縁組”は目も当てられない!
 節税メリットばかりに気を取られ、安易な”養子縁組”は大変リスキーです。”養子縁組”は本人が同意しない限り、解消できません。
★ 他人との養子縁組

★ 娘の夫との養子縁組:
 娘の夫が会社の後継候補なら問題が生じかねません。縁組後に娘夫婦が離婚することも。
★ 甥や姪との養子縁組:
直系の孫がいれば避ける  など

◆ 養子縁組するなら、事前に英和グループにご相談を!

 ”養子縁組”をしたばかりに、権利の主張で泥仕合になり分割協議が整わなければ節税メリットどころではありません。また、”養子縁組”だけで相続問題は解決にみちびけず、一族の将来を考える力のある経験豊富な専門家集団の英和グループ(英和コンサルティング株式会社/英和税理士法人)に相談のうえ、家族の十分な理解を得たうえでの活用をお勧めします。

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