コラム

健康寿命と相続の意外な関係!? ~認知症リスクを意識しよう~

 40年以上、お客様のご長命と一族の繁栄をミッションに、相続・事業承継対策コンサルひと筋にまい進してきました英和グループ(英和コンサルティング株式会社/英和税理士法人)では、相続対策はもちろんですが「長寿化に伴う長生きリスク(=認知症発症による財産処分ができなくなるリスク)」についても”新相続対策コンサルティング”を行っています。

 今号では「健康寿命と相続の意外な関係!?」についてご紹介いたします。

 日本の平均寿命は「男性:81.64歳、女性:87.74歳」と過去最高を更新して、男性はスイス(81.9歳)に続き世界第2位でしたが、女性は世界トップと、最長寿国に(出典:厚生労働省)。
 とはいえ、”長生き=幸せ”に結びつくわけではありません。せめて元気で生きようと、いま”健康寿命”に注目が。実は、”健康寿命”がシルバーライフでの生活設計や相続問題に大きな影響を与えているのです。


◆ ”健康寿命”って?

 ”健康寿命”は「日常的に介護が必要なく、自立した生活ができる年数(=健康で過ごせる年数)」のことで、統計上は男性が72.6歳、女性は75.5歳で、平均寿命とは大きな差がありますが、それでも”健康寿命は男女とも世界一”なのです。
(注)出典:WHO(世界保健機関)2021年版世界保健統計(数値は、2019年時点)
● 人のお世話になる期間は10年超にも!

 ”平均寿命”と”健康寿命”との差は、見方を変えると「入院や介護などで人のお世話を受ける期間(=不健康期間)」ともいえ、”男性で8.8年”、”女性が11.9年”もの期間で、男女平均ではざっと10年以上になっています。

● 老後の生活設計は大丈夫?

 夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯を想定)の毎月の支出は平均月24万円(出典:生命保険文化センター)で、今後20年間(65歳から男女平均寿命まで)に生活費が5,760万円も必要に。もちろん、厚生年金などで7~8割はカバーできますが、東京など大都市圏にお住まいなら”生活費はかなり増えるうえ、入院や介護関連の費用(施設入所など)や自宅の修繕・マイカーの更新などの負担も必要です。この不足部分は自力でカバーしなければなりません。
 また経営者や富裕層の方では、現役時代の生活レベルからの極端な切り下げは現実的でないので、平均額の2倍以上の生活費は覚悟しておく方がよさそうです。そうなれば、20年間でざっと7,000万円の負担増となり、資金準備も早いうちにされる必要がありますね。

◆ ”健康寿命”と相続問題
 ”健康寿命”は自分の問題と考えがちですが、間接的に「相続の問題」にも影響を与えることに。
● 認知気味では相続対策も困難に!

 長寿化の最大の問題は、高齢化に伴う「認知症有病率の急増」です。
 相続対策では財産の移転など法律行為がつきものですので、ご本人が認知症になってしまうと、法律行為をする際の”意思表示能力”に問題が生じます。
 自分がしようとする行為の善し悪しの判断ができない状態では、たとえ子どもでも、相続対策に限らず、(親御さんのためでも)不動産の売却や預貯金の引き出しはできません。仮に、認知症の方が自宅などを言われるがままに第三者へ売却しても、後日認知症である事実が証明できれば売買契約が無効となってしまうのです。

● 成年後見人がいれば大丈夫?

 認知症でも”成年後見人さえいれば大丈夫!”と思われがちですが、(裁判所が選任する)成年後見人でも相続対策はできません。成年後見人は「財産の維持管理がメイン業務」ですので、被後見人(認知症の方など)の財産を減らす行為は基本的に許されないというワケです。もちろん、資産の組み換えや投資・運用なども一切できません。
 つまり、本人の意思表示能力(=判断能力)が欠けた状態ではいくら価値のある相続対策を工夫しても、絵に描いた餅ということに。

◆ ”平均寿命”より”健康寿命”に目を向けよう!
 2025年には65歳以上の認知症患者が700万人に達し、5人に1人が認知症の計算に(内閣府、高齢社会白書より)。
 今後は自分の健康状態や健康維持に留意され、”健康寿命”を伸ばして少なくとも「平均寿命=健康寿命」を全うできるよう心がけて、セカンドライフを健やかに過ごされつつ、その間にご家族を相続問題で悩ませる必要がないように、できるだけ早い段階で対策の検討や実施を進めましょう。

 要は、最善の新相続対策は「ご自身(ご夫妻)が健やかな生活を末永く続けられること」にあり、それがご家族の幸せにもつながることをお忘れなく!

◆ 認知症対策など、新時代の相続対策のご相談はお早めに!
 人生100年時代はすぐそこまで来ています。
 ご自身の健康が大切なことと同様に、認知症やさまざまな病気への備えとして・相続トラブルを防ぐ意味でも”新相続対策”をお考えになってはいかがでしょうか。
● 早い時期からの相続対策が決め手に

 私たちは相続がいつやってくるかや、財産が相続の時までにどう変っていくのかもわかりません。
 相続対策の秘訣は、マスタープランを立てて、対策を実行しつつ、税制改正、経済や財産の状況変化などを考慮しながら、方向修正を重ねることにあります。一つの対策だけで「満塁ホームラン(巨額の節税効果)」を期待するより、ヒットを積み重ねる方がよい成果を得られています。

● ご相談は専門医としての相続・事業承継対策のプロに!

 相続対策では、対策の選択肢も多く、相続人の考え方の違いなどもあり、対策の立案や実行は難易度が高く、豊富な経験や知識(ノウハウ)が求められます。

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