コラム

あと3ヵ月で義務付け~電子取引データの電子保存~   パートⅢ 検索機能の考え方

 中小企業とそのオーナー・ファミリーを支え続けて40年の英和グループ(英和コンサルティング株式会社/英和税理士法人)では、中小企業にとって降って湧いたような「電子取引データの電子保存が義務化」に対応していただくため、”緊急企画”としてこの内容を4回にわたって案内中です。

 対応が不可欠な電子保存(義務化)ですので、皆さまがスムースな対応を図れるようサポートしてまいります。
 来年1月まで、まだ3ヵ月ほど残されています。皆さまには、この重要な改正についての理解を深めたうえで、社内での準備を始めていただければ幸いです!もちろん、英和グループではすでにご相談も承っています。

◆ ええっ!2022年1月から電子取引データの電子保存が義務付けに?

 来年1月から、多くの中小企業が”電子的に受け取っている取引データ”を電子取引データのまま保存義務が生じました。そのご案内の第3弾です。メール添付で受領の請求書・領収書ファイルなども、出力しないで「ファイル保存」が義務に。
 これまでのように紙に印刷して適切に保存しても、帳簿書類が不足している扱いとなり、最悪『青色申告の取り消し』リスクが生じます。

● 電子取引データの検索要件とは?
 電子取引データを保存する際は、指定の検索ができるようにしておくことも義務付けられています。
 電子帳簿保存法で求める検索機能は、次の3つです。
 ① 取引年月日、取引金額、取引先での検索

 ② 日付または金額の範囲指定での検索
 ③ 二以上の任意の記録項目を組み合わせた条件設定での検索


 「あれ?①だけじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実際には特例のおかげで、大多数の中小企業では”①の検索要件”だけで問題なさそうです。

● 税務調査時に協力できれば特例が

 「天災と税務調査は忘れたころにやってくる」ということで、税務調査がきたときに税務職員の求めに応じて”電子取引データのダウンロードに応じる”場合、②や③の検索機能は必要ありません。書類コピーを提出するのと同じように、データダウンロードへの協力でOKということに。

 といっても書類コピーと違い、電子取引データは短時間で大量にダウンロードできますので、調査が効率よく進むことにもつながり、これまでより幅広く調査されるかもしれません。

● 年商1,000万円以下の小規模事業者の特例

 個人事業主なら前々年、法人なら前々事業年度の売上高が 1,000 万円以下の小規模事業者では、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしていれば、”検索要件の全てが不要”という特例が設けられています。

● 国税庁が認める保存方法
 メールで受け取る請求書のPdfファイル等について、システムを使わずに検索できるようにする方法として、国税庁では次の2つの方法を例示しています。
1.エクセル等の表計算ソフトに、取引データに係る取引年月日その他の日付、取引金額、取引先の情報を入力して一覧表を作成する方法
 国税庁HPで公開されている索引簿のエクセルフォーマットは、下記でダウンロードできます。サンプルではファイル名は下表のように①からナンバリングされているだけですが、もっとわかりやすい名称にする、ボリューム次第ではフォルダを分ける余地もありそうです。
 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm

2.取引データのファイル名を「取引年月日その他の日付」、「取引金額」、「取引先」を含み、統一した順序で入力しておく方法
 保存するファイル名に必要な情報を入れ、フォルダ内で検索できるようにしておくやり方です。
 国税庁の説明通りにテスト保存したものが下の画像です。索引簿作成は必要ないものの、ファイル名の指定が意外に面倒で時間がかかりました。
※なお、国税庁は日付はあとで検索しやすいよう、和暦・西暦のどちらでもよいとし、統一するよう注意を促しています。

● どちらにしても、データ保存の事務負担は増加!
 「ルール通りのファイル名に修正したり、特定の場所に保存し直したり、リストを作成したり」と事務作業が発生するので、手作業での電子取引データの保存は確実に会社での負担が増えそうです。
 一方で、保存スペースも紙も不要となり、あとから探しやすくなる事務の効率化というメリットもあります。工夫して、できる限り事務負担を増やさずに効率的に保存する方法を考えたいですね。

◆ 今ならまだ間に合います!英和グループにご相談を!
 来年1月から適用の電子取引データの電子保存や電子帳簿保存法への対応、消費税法のインボイス保存方式への対応などについてもご相談をいただいています。

 こうした新たな問題は、お客様のおかれた状況やシステムなどの環境、そして社長のお考え次第で対応方法も異なります。すべてお客様毎のオーダーメイドの対応となり、そのコンサルティングにはノウハウや豊富な業務経験・新たな情報の収集と吸収が欠かせません。

 英和グループでは、40年にわたり中小企業特化で相続・事業承継、経営改善のためのコンサルをはじめ、会社とオーナー経営者(とそのファミリー)のためのコンサルティングを行っていますので、遠慮なくお問い合わせください。

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