コラム

社長! 会社への貸付金を放置してませんか?

 業績悪化時や急場しのぎのときなどでは、銀行からの資金調達の面倒を避けてすぐに資金を使えるようにするために、中小企業では「オーナー社長が会社に運転資金を貸付(=社長からの借入金)」といったことが良くみられます。

◆ 社長からの借入金は、会社のプラスにならない!
 不足資金などを社長が個人的に「催促なしのある時払いで、利息もなし」で会社に貸し付けて、いつの間にか積もり積もって数千万円になる事例は決して少なくありません。
● 銀行は社長借入をこう見てる!
 銀行は、社長からの催促なしの借入金は「社長と会社の不透明な取引の温床になりがち」とみており、会社に資金的余裕ができると”社長への返済”に回す可能性があり、前向き投資(=設備投資や販路開拓など)に使わずに「会社の財務体質を悪化(信用力をダウン)させかねない存在」と評価されてしまいます。
 つまり、個人のポケットマネーと会社のお金を一体で使っている=公私混同につながりかねない会社との評価となり、与信レベルは決して高くなりません。
 ちなみに、銀行はこうした会社については「銀行借入金の社長の個人保証外し」は認めないのが通例です。

● 社長借入はどうすればいい?

 会社の状況により対応策は異なりますが、大きく分けてつぎのような対策が考えられます。
★ 会社の業績が厳しいケース

 時間がかかるが負担感が少ないやり方で、具体的には「社長の報酬(給与)を減らし、減額分は借入金の返済に充てる」という方法。
 これなら、役員報酬の減額分=借入金の返済額となり、キャッシュフロー上は会社の負担は変わらず、減額分の給与の源泉所得税や社会保険料負担も減るため、社長の手元に残る金額は増える結果になります。
 業績が厳しい会社なら、社長の報酬減額などで表面上の費用が減るため、業績にはプラスの影響を与えます。
★ 即効性のある対策

 短期間に社長借入金を解消したいといわれるケースでは、つぎのような対応の余地があります。
 ・ 貸付金の放棄(会社:債務免除益)  ・ 貸付金の出資への切り替え   ・ 後継者への贈与
 ・ 代物弁済   ・ 生命保険の活用
 など
 もちろん、実際に対策を実行するには、会社の状況の把握、社長や会社にとっての対策の必要性、対策によるデメリットなどを総合的に検討し課題をクリアすることが前提となります。

◆ 放置は、社長の相続リスクに!
 なんと、社長の個人資金の会社貸付金は、社長や相続人にとっても「相続リスク」なのです。
● 社長貸付金は「相続財産」になる!
 会社に貸しているので、このお金は「会社への債権(貸付金)」となり、将来、社長に相続が発生すると”相続財産”として、相続税の対象になってしまいます。
 コロナ禍でも業績は絶好調で、余剰資金も十分といった会社なら問題はないでしょうが、油断は禁物です。

● 大半は、回収不能な貸付金化している!

 無利息で、ある時払いの催促なしのお金は、一般的には不要不急の費用に使われがちです。
★ まずは、超優良企業での社長貸付金の事例から

 順調に業容を拡大してきた優良製造業の会社の例をご紹介しましょう。2億円ほどに積み上がった社長借入金は大半を機械設備購入資金として費消済みの状態で、社長はほどなく他界されました。

 自己資金では返済不可能なため、2億円の返済資金と3億円の退職慰労金の合わせて5億円を銀行から調達して、遺族に支払いました。もちろん、会社の財務体質は大きく悪化し、一方、遺族はその5億円の大半を相続税の納税資金に充てて、手元にはキャッシュがあまり残りませんでした。実は社長の財産の多くが(自宅以外には)自社株と会社への貸付け不動産(本社と工場)で、これに加えて前述の5億円が上乗せされてしまったのです。

 自社株対策もせず、会社貸付金も放置したままだったので、せっかくの5億円が納税資金に化けてしまう結果に。

★ 大半の中小企業では回収不能に!

 社長が個人資金を投入されている会社は”慢性赤字か、資金繰りが厳しい、設備や在庫資金に投入済み”が通例で、会社貸付金は「社長の相続人には事実上返済できない債権(相続財産)」ということに。
 結局のところ、社長の会社への好意は”家族の不幸を招きかねない”ことに・・・。
 ・ 社長の貸付金 → ”貸付債権”として相続財産に!
 ・ 社長の相続人 → ”貸付債権”についても、相続税負担が!
 ・ 貸付金の回収 → 期待できない!(でも相続税負担あり)  

 
つまり、会社からの返済は期待できず、他方で相続税は負担しなければならないのです。「ない袖を振る=他の相続財産を処分」などして、この貸付債権分の相続税を払う羽目になるわけです。

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